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虫歯の治療 [2019年07月08日]
歯周病が専門ですが、虫歯の治療を行うこともあります。
コンポジットレジン充填といって、虫歯を削ってプラスチックを詰めます。
全国の普通の歯医者さんでも行われているこの処置ですが、
みんなやる処置なので歯科医ごとにこだわりは色々です。
10分でテキトーに詰める先生や(これはその後虫歯になりやすいです)
2時間ぐらいかけて本物の歯レベルでつめる先生もいます。
当院は歯周病の専門ですが、きちんと長持ちするレベルでの虫歯の処置も行います。
(当院は3代続く歯科医院ですが、1代目は入れ歯の名人で2代目は歯周病の専門家です)
本当はよく磨いて虫歯にしないことが大事なのですが、
人生は長いですから歯が磨けない時期というのも存在します(本当に色んな人がいます)
そんな時にきちんと治療を行って、出来るだけきちんと治療してがっつり予防することで
歯を長持ちさせることができます。
アピカリーポジションドフラップ [2019年07月04日]
若い先生が院長の指導を受けながら手術をすることがあります。
今回は認定医の先生がきて手術を行いました。
ポイントポイントで指導を受けて、より良い手術を目指すために研鑽しています。
今回の手術はインプラントの2次オペと付着歯肉増大術を行いました。
患者さんも頑張ってお口を開けてもらい、
部分層弁と歯肉の移植を同時に行う治療ですが2時間程度でオペは終了
滞りなくスムーズにいきました!
研修会 [2019年07月01日]
電動歯ブラシ [2019年06月28日]
当院では最初に来院されると歯ブラシの方法をお話しします。
治療を成功させるための必須要素だからです。
しかしどーしても磨けないという方もいらっしゃいます。
そんな時に電動歯ブラシをおすすめするのですが、
先日、患者さんが持ってきた電動歯ブラシに驚かされました。
なんと価格が驚異の 1030円!! (※amazon prime会員なら)
、、結構いい感じです。
よく「電動歯ブラシを使ったほうがいいのですか?」と質問されるのですが、
結論としては「どちらでも良い」といったところです。
なぜでしょうか?
注意!ここから先はマニアックなあれこれ、最後にまとめあり。
歴史:
世界で最初の電動歯ブラシはDr George A Scott博士が1939年に発売したものですが、
当時はあまり売れませんでした。
なんと、この電動ブラシは中に磁気を帯びた棒が入っているだけで、毛先が振動するものではなかったそうです。
詐欺??
本当の電動ブラシはが1954年にPhilippe G Woogによって発売された、とされていて
使用にはコンセントに差し込まなければならず取り回しは不便だったのであまり売れなかったそうです、
現在、電動ブラシは研究開発が進み安価で性能がよいいものが増えています。
研究:
電動歯ブラシがどれほどの効果があるのかという研究はあるのですが
電動歯ブラシと手磨きその他の器具の比較において「わずかに」電動ブラシの方が歯垢除去能力が高く
コクランのレビューでも手磨きと比べて、歯垢を11パーセント多く除去し 歯肉出血を6パーセント減少させるらしいです。1
しかしながらこれらは短期的(数ヶ月単位)の結果で長期的(5年以上)の場合にどうなのかは分かりません。
歯は80年以上使うものですから、本当に電動ブラシがいいかどうかはまだ議論の余地があるのでしょう。
(80年以上もつ電化製品は非常に稀だと思います)
また新製品が出ると昔のものは廃盤になるので、同じものを買い続けるのが難しい現状もあるようです。
またある研究では5〜6ヶ月たつとほとんどの人は目新しくなくなって使わなくなってしまうようです。2
また電動歯ブラシは使い方を間違えると、大きく歯を削ってしまったり、歯肉を削ってしまうことがあります。
まとめると
歯ブラシでも電動ブラシでも少ししか違わない。(ちょっと電動ブラシの方が良い)
実験は短い期間で行われたので一生使う歯に当てはめるのは難しい。
大事なのは道具よりも使い方(月並みですね、、、)
電動ブラシを買ったら一度お持ちください。
せっかく買った道具ですから正しく使って、毎日綺麗な口の中でいたいですね。
1Heanue, SA Deacon, C Deery, et al.: Manual versus powered toothbrushing for oral health. Cochrane Database Syst Rev.
2PR Warren, TS Ray, M Cugini, et al.: A practice-based study of a power toothbrush: assessment of effectiveness and acceptance. J Am Dent Assoc.
歯周病の患者さんは一生歯周病である?? [2019年06月27日]
久々に更新します。
歯周病の管理について。
よく歯周病が治った患者さんから聞かれる質問について、
「先生、歯周病が治ったのだから定期的に通う必要があるのですか?」
という質問です。
これについては「通う必要がある」と説明しています。
なぜでしょうか?
PROCEEDINGS FROM THE 2017 WORLD WORKSHOP ON THE CLASSIFICATION OF PERIODONTAL AND PERI-IMPLANT DISEASES AND CONDITIONS
(数年に一度世界中の歯周病の権威が集まって病気の定義を決める会議)
の2017 WORLD WORKSHOP Periodontal health Niklaus P. Lang P. Mark Bartold
によると動物実験において
「慢性炎症細胞による歯肉組織の浸潤はほんの少数の標本で発生し、ループパターンによるバイオフィルムの増加および歯肉血管網の置換と関連していた。
これは言い換えると、バイオフィルムによって誘発された炎症によって攻撃されると、元々の繊細な血管網が毛細血管のループ構成に置き換えられたことを意味していました1。」
ん~、すごく分かりずらい、、
ものすごく噛み砕いて説明すると
1度歯周病になると(腫れた歯肉になると)歯肉には「特殊な血管のパターン」が現れる。
その後にその炎症を治療によって消すことに成功しても、その「特殊な血管のパターン」は残り続けるよ!
ということです。
この「特殊なパターン」は動物実験によるものなので、そもそも人間はどうなのかという話もあります。
しかしながら、歯周病を治した患者さんが定期的なメンテナンスに来なかったがゆえに逆に歯周病を悪くしてしまった、、なんてことは珍しい話ではありません。
実際に上の「歯周病の患者さんは一生歯周病である」という過激なキャッチフレーズは上のワークショップで発表され、やはり賛否両論のようで、
What is meant by the consensus statement, “a periodontitis patient is a periodontitis patient for life”?
「歯周炎患者は一生の間に歯周炎患者である」というコンセンサスステートメントの意味は何ですか?
「意訳:歯周病患者は一生歯周病であるって根拠はなんでしょうか??(キレ気味)」
という質問がおこなわれています。
これに対しての回答としては、、、
A patient who has periodontitis remains at risk for further periodontal destruction even with treatment.
It is important to define a periodontitis patient as an “at-risk” individual because this patient requires
a more intensive level of maintenance and evaluation than a patient who has not had periodontitis. Thus,
a periodontitis patient who has been treated and is now stable should not return to a level of evaluation
and maintenance identical to a patient who has never had periodontitis (i.e., annual or semi-annual exam/prophylaxis).
歯周炎を患っている患者は、治療を受けてもさらなる歯周破壊の危険性があります。
この患者は、歯周炎を患っていない患者よりもより集中的なレベルの維持および評価を必要とするので、
歯周炎患者を「危険のある」個体として定義することが重要である。
したがって、治療され、そして現在安定している歯周炎患者は、歯周炎を経験したことがない患者と同一の評価および維持のレベル
(すなわち、年間または半年間の検査/予防)に戻るべきではない。
これも、、分かりづらい、、、、
という訳で噛み砕いて説明すると、、、
「歯周病の患者さんは、治療で歯周病の進行が止まっても 常に再発のリスクを抱えている その為健康な人と同じように管理するべきではない」
ということになります。
その為当院では治療が終了した患者さんに対しても、その人のリスクに合わせた期間で定期的な管理を行っています。
よく「3ヶ月に1回」というのは標準的な歯周病だった患者さんの管理に行われますが、状況にあわせて1ヶ月やリスクが高いときには限定的に1週間後にきてもらうこともあります。
逆にそれほど歯周病の状況が悪くないときには1年や半年ごとといったこともあります。
大事なのは患者さんの個別の状態と見極めることであって、漫然と3ヶ月に1度口の中を洗浄するだけでは確実に患者さんは悪くなります。
もし、歯医者さんに定期的に通っているのに歯が悪くなる気がするという方は一度、歯周病専門医にかかってみるのもいいかもしれません。
1Hock J. Gingival vasculature around erupting deciduous teeth of dogs and cats. J Clin Periodontol. 1975;2:44–50.
「歯周病の治療を他の病院でやった後から、前歯から息が漏れてしゃべりずらい」 [2018年11月26日]
「歯周病の治療を他の病院でやった後から、前歯から息が漏れてしゃべりずらい」
と訴えて当院にいらした患者さんになります。
矢印の部分から息が漏れているようで発音にも困っているようでした。
一般的に歯周病の治療をおこなうと、腫れている歯茎が健康な大きさにもどるので、歯肉が下がるのは前の医院の治療が効いている。つまりよい兆候であると説明しています。
またこのような状態を綺麗に治すのは専門医でも難易度が高く、非常に高度な治療とされます。
しかしながら実際に歯茎が下がって発音しづらく、費用や時間がかかっても治したいと患者さんのたっての希望があり治療にとりかかりました。
術前と術後を比較すると、黒いスペースがなくなっているのが分かると思います。
期間は1年ほどかかりましたが非常に満足度の高い治療となりました。
このような審美的な治療はできる場合とできない場合があり、
患者さんの歯肉の状態を見極め適切な治療を行うことが必須となります。
AAP(アメリカ歯周病学会)に参加しました。 [2018年11月13日]
2018年10月27日から30日にかけて
カナダバンクーバーで行われたAAP annual meeting に参加しました。
一口に歯医者さんといってもそれぞれ得意な分野があり
「根っこの治療が得意」「詰め物や被せ物が得意」「歯肉の治療が得意」などがあり、
その分野において毎年1~2回にわけて学会が行われます。
AAPはアメリカの歯周病学会であり、毎年1回総会のようなものが行われ
世界の歯周病学の重鎮などが集まりセミナーなどを行っています。
今回、当院でもポスター発表を行うためカナダに行ってきました。
学会初日の朝は院長の友人で
世界における歯周病学の重鎮Dr P D miller先生と一緒にホテルで朝食を食べました。
(歯周病の教科書とかに名前がのっているレベルの人です)
現在はリタイアされていて後進の育成に力をそそいでいるそうで
アメリカでの歯周病の歯を抜いてすぐインプラントにする風潮を嘆いていらっしゃいました。(7mmのポケットがあると抜歯してインプラントにしたほうが合理的との意見があるみたいです)
繰り返し「save the tooth」(歯を守る)ことの大切さを語っていらっしゃいました。
きちんとした歯周病治療を行った歯にはかなりの確率で生存率があり
その予知性も高いものです。
P D miller先生はその長い臨床経験の中で統計的にその歯が何年もつか分類をしており
(miller mcentire periodontal prognostic index)
当院でも歯周病の歯の予後を知るために採用しています。
今回はポスター発表に来ているというと「そこで広げて見せてくれ」とのことで
高級ホテルのラウンジでポスターを広げるのは恥ずかしかったのですが
こんな機会はあまりないと考え見ていただきました(かなり良くできてると褒めていただきました(笑)
デジタルサイネージ [2018年10月05日]
常々、外の看板をデジタル化できないと考えていました。
歯科医院などは診療時間を看板などに書いておくのですが
使っている看板があまりにもローカルなのでデジタル化を常々考えておりました。
当院の看板。。ローカルすぎて逆に味が出ている看板、、、
その為デジタルサイネージ(電子看板)を設置することにしました。
紙やLEDだとデザイン等を変更したい場合は業者に発注をかけなくてはいけませんが
デジタルサイネージなら自分が好きにデザインしたものを好きなタイミングで表示できる!
と思い立ち、実行にうつします。
完成
デザインは一から全ておこしており完全オリジナルです。
実際やってみて改善点はいくつか見られますが、少しづつ改良したいと考えています。
ちなみにこのデジタルサイネージ、アメリカ都市部の歯科医院では結構みられます。
こうったものがどんどんデジタル化するのは時代の流れを感じます。
CTスキャン装置を導入しました [2018年10月02日]
当院では9月よりアメリカ製CTスキャン装置 GENDEX CB500を導入しました!
これにより今まで二次元で診断していた病巣を三次元的に確認することができます。
CTスキャンには「立って撮るタイプ」と「座って撮るタイプ」の二つがありますが
このCTは「座って撮るタイプ」の為 頭が安定しやすくブレが少ない高精度な撮影をすることができます。
実は、、歯科において昔からある「二次元的」な画像診断は非常に進歩しており
今までも色々な診査(触診 ポケット検査 打診 冷水診など)と組み合わせることでかなりの精度で診断をすることが可能でした。
しかし、どうしても診断がつきそうもない場合 CTスキャンを使うことで診断に迷う場面でも診断を下すことが可能になります(もちろん万能でなくCTは検査の一つにすぎません、従来の診査と組み合わせて総合的に診断します。)
しかしながら上顎洞炎や歯の根っこの治療等を行う上でも非常に有用なツールであることは間違いなく、今まで当院ではインプラント治療を行う際に外部の医療施設に依頼して患者さんに足を運んでもらっていたのですが全て院内で完結できるようになりました。
痩せた歯茎、下がった歯肉を元の見た目に戻す方法「結合組織移植術」 [2018年08月17日]
歯肉が年齢で下がってきたことを気にする女性は非常に多いです。
歯科用語では歯肉が下に下がってくることを「歯肉退縮」といいます。
歯茎が下がる原因はおおまかに分類すれば
「老化による歯肉の下がり」「歯ブラシ等の刺激による歯肉の下がり」「歯周病による歯肉の下がり」
があります。
実は「純粋に老化によって歯茎が下がる」はそんなに多くはないことが分かっています。
ほとんどの人は長い人生の中で「間違った歯磨きで歯茎を傷つけて」いたり「歯周病」にかかって
歯茎が下がってきたりします。1
当院では患者さんにまず「普段どのように磨いているのか」を確認し実際に磨いてもらいます。
そうして磨いていると多くの方が
歯ブラシを「にぎりこんで」強い力でゴシゴシ磨いているのを見ることができます。
この磨き方をすると必要以上に歯茎を傷つけることになり歯茎が下がりやすくなります。
そのため当院では「ペングリップ」鉛筆を持つ持ち方で「やさしく細かく」磨く方法を指導しています。
詳しくは「http://y-dental.com/periodontal/perio-basics2/」をご覧ください。
また大きく下がった歯肉を元の位置まで戻す方法として「結合組織移植法」が存在します。
歯肉が下がってきていて歯の根っこが見えています。
このままでは見た目も悪く、知覚過敏など歯がしみる原因になることがあります。
そのため「結合組織移植法」を行い歯肉を移植しました。
術後2週の状態です。上の写真と比較すると出ている歯が短くなっているのが分かるでしょうか?
上記のような術式をおこなうにはいくつかの条件をみたさなくてはならないのですが、
今回は審美的な見た目をある程度回復することができました。
The effect of toothbrush grip on gingival abrasion and plaque removal during toothbrushing