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矯正中の歯ぐきから膿が出る

30代 女性

最近になって矯正をはじめたが,治療途中から歯ぐきより膿がでてきた。

物を食べると味がおかしい、、

紹介してもらった歯医者からは一言「問題ない」と言われた。

喫煙者、ホルモン療法中で矯正治療と歯周病は実は密接な関係があります。

また歯周病は、女性ホルモンや喫煙で悪化しやすい傾向にあり、

妊娠中の女性は「妊娠性歯周炎」といって歯周病になりやすい傾向があるんです。

このケースの場合、もともと身体の免疫力が落ちていたところに

歯を動かす力(矯正力)が加わって、歯周病の悪化が急速に進行したことが考えられます。

このような因子を「アクセラレーティングファクター」といいます。

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実際に鏡で膿の出る場所を見てもらうと、非常に驚かれていました。

歯を良くしようと思って矯正治療をおこなったのに、歯そのものが無くなる危機に直面すれば当然です。

味が変だったのはこの膿を舌でなめていたのが原因です。

また歯周ポケット検査をおこなったところ、6mm~9mmの歯周ポケットがいたるところで見つかりました。

(4mm以上のポケットがある場合「歯周病」)

歯の根っこの長さは平均14mm~15mm程度ですから、周りの骨が1/2程度溶けている計算になります。

この女性は30代ですので、年齢に対してかなり歯周病が進んでいるということになります。

歯ぐきから膿が出てくる理由は色々あるのですが

今回は電気診(+) 冷水診(+)

のため、歯髄はかなりの確率で生きている事がわかったため

歯周病由来の膿である可能性が濃厚です。

歯周病の基本的な治療は

検査

歯ブラシ指導

SRP(スケーリング・ルートプレーニング)

検査

必要であれば外科処置、といった流れになります。

スケーリング・ルートプレーニングとは深いポケットの奥についた、歯石やバクテリアを可及的に除去する方法で

麻酔をしてスケーラーという道具で、歯根面についた歯石をかき出します。

しかしながら6mm以上のポケットの場合 上手い人でも40%は取り残すことがわかっており。

深いポケットになればなるほど、歯周病をなおすのは難しくなります。

取り残した歯石については、歯周外科処置で取り残しの除去をおこないます。

今回の治療ではまずは矯正治療の中止、喫煙の中止

ホルモン療法は全身との関係があるため続行しながら治療を行いました。

SRPが終了した時点でほとんどのポケットは改善傾向にあり、

歯ぐきが引き締まり 膿も出なくなりました。(汚染を除去すると相対的に3mmのポケットに改善する)

しかしながら9mmほどのポケットが奥歯に残っていたため

患者さんに説明、同意後 歯周外科処置+再生療法(FGF-2 リグロス)を行いました。

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再生療法といっても、なんでもかんでも治せるわけではなく、適応症を選ぶ必要があります。

適応症を間違えると、再生材料を入れても全く再生しないなんてことになりかねません。

外科処置を終えてから1ヶ月後に再検査を行いすべての歯周ポケットが改善したことを確認したら

定期的なメンテナンスに移行します。

歯周病になった患者さんは治療によって歯周病が止まった後も、再発が起きやすいことがわかっています。

そのため定期的なメンテナンスは欠かせません。

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矯正治療で歯科医院に行く場合は、必ず歯周病の状態を確認してもらってください。

矯正治療によって歯周病になる場合、非常に進行が早いことがあります。

逆に言えば歯周病の管理がしっかりしているときに矯正による歯周病の進行は限りなく起こりづらいです。

矯正中で歯茎から膿が出る場合は早めの受診をおすすめします。

効果

歯周病による臨床的アタッチメントロスの

防止

臨床的アタッチメントゲインの獲得

副作用

出血、術後の腫れ、歯のシミ、疼痛などが

おこることがあります。

※症例の公表について患者さんの同意許可を頂いていおります。

©2020/4/28 Taishi Hirose

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