審美歯科の領域における歯肉退縮の治療
他院にて歯周病の治療を受けたが
歯肉が下がってみっともない。
見た目をキレイにしたい。
歯周病の治療をおこなうと
歯茎が下がることがあります。
歯周病の治療をしたけど歯茎が下がる???
歯茎は元に戻るんじゃないの?と思うかもしれません。
実は、歯周病の患者さんには2種類の歯茎タイプがいます
浮腫性(ブヨブヨした歯茎)(歯茎が下がりやすい)
線維性(すっきりした歯茎)(歯茎は下がりにくい)
歯周病というのは、すご~~~くざっくり言えば
「歯周ポケット」の深さが4mm以上ある状態をいいます。
上の写真は歯周病の人の歯茎
浮腫性(ぶよぶよした歯茎) 線維性(すっきりした歯茎)
ぶよぶよした歯肉は分かりやすいですが
ポケットの深さが4mm以上あれば。
見た目に関係なく歯周病の判定となります。
(※すごくざっくりです。本当は臨床的アタッチメントレベルとかプロービングデップスといった
概念が必要ですが、ここではわかりやすさを重視します)
歯肉が下がりやすいのはぶよぶよの歯肉です。
なんでぶよぶよしているのかというと「腫脹」つまり腫れているわけですね。
この腫れに色々な液体(組織液、血液)が入っていて。
治療をすると液体の量が減って、腫れがおさまります
その結果、歯肉が縮んで下がるのです。
歯肉の「不良債権」と考えてみてください。
歯茎は縮んでいるが、健康にはなったのです。
そして歯肉のポケットが浅くなり、管理しやすくなるわけです。
しかしながら、下がった歯肉はみっともないとなるわけです。
難しい言葉だと「ブラックトライアングル」という言葉があります。
軽度であればヒアルロン酸の注射などで治療するようですが
大きいブラックトライアングルでは満足いく回復を得られないことも多いです。
また客観的に見て3mmを超えるブラックトライアングルは魅力が低いとも言われています。※1
奥歯なら分かりづらいですが
前歯だったら目立ちます。
患者さんには説明と同意を経て治療を開始しました。
ちなみに、このまま白い冠をかぶせてしまうと
非常にアンバランスな見た目になります。
まずは矯正治療を行い、歯を理想的な位置にもっていきます(矯正治療)
その後歯肉を移植する手術をおこない。(歯周外科処置)(CTG 結合組織移植術)
最後はラミネートベニア(歯の付け爪)をおこないます。
総力戦です、、、、
そして治療終了時がこちら。
右 治療終了時
患者さん自身も非常に満足されていました。
健康と審美性を両立する治療は非常に難易度が高いですが、やりがいもあるものです。
結果論になりますが、やはり悪くする前に歯医者さんに来るということは大事です。
健全が10の状態だとすると。
9→10にすることは比較的簡単です。
しかし4→10にするにはかなりの投資と時間を必要とします。
そのため定期的にきちんとしたメンテナンスを受けることが大事だと考えます。
※1 Kokich V, Kiyak A, Shapiro P . Comparing the perception of dentists and lay people to altered dental aesthetics. J Esthet Dent 2005; 1: 311–324.
効能
発音時の呼気の漏出防止
主観的審美性の改善
臨床的アタッチメントの獲得
副作用
術後の腫れ、痛み、
発赤、歯がしみる等が起こることがあります。
©2020/4/27 Taishi Hirose