下がった歯肉を治療したい
歯周病の治療について
30代女性、歯茎の下がりを治療してほしい。
患者さんは歯茎の見た目をとても気にしていて、
鏡を見るたびにこのまま下がり続けるのでは、、、と憂鬱になるそうです。
たしかに、自分の顔は毎日見るものですから、
できることならなおしたい、と思うのが人情でしょう。
当院は歯周病専門医在籍医院のため、このような相談は多いです。
この歯茎が下がるってどういうことなんでしょうか?
大きくわけると原因は3つ
①歯周病で下がった。
②強く磨きすぎて歯肉がさがった。(歯肉退縮)
③歯周病の治療の効果でさがった。(歯肉の引き締まり)
当然①のみで下がることもありますし
①と②の複合もあります。
今日はこの原因のうち②を話したいと思います。
歯肉退縮というのは文字通り、歯肉(歯茎)が下にさがることです。
メカニズムに関しては現代でも不明です。
ただ歯肉が薄い人はなりやすいみたいで
矯正治療の結果、歯が移動することでも歯肉退縮になることがあります。
若い人に多く、矯正方法の種類(インビザライン、マウスピース、ブラケット矯正etc)
ではなく歯を動かした位置によって下がることが多いです。
また歯肉の下がり方によっても難易度がかわってきていて
治療難易度はおもにmillerの分類と呼ばれるものが使用されます。(読み飛ばし推奨)
クラスⅠ。歯肉退縮は、齦頬移行部には及ばない。歯間領域の骨や軟組織の損失はありません。このタイプの歯肉退縮は、狭い場合と広い場合があります。
クラス II。歯肉退縮は、齦頬移行部まで、またはその頂部まで広がっている。歯間領域の骨や軟組織の損失はありません。このタイプの歯肉退縮は、幅の広いものと幅の狭いものに分類できます。
クラス III。歯肉退縮は、齦頬移行部まで、またはその頂部まで広がっています。歯間または歯の位置ずれにより、骨および軟組織の喪失があります。
クラス IV。歯肉退縮は、齦頬移行部まで、またはその頂部まで広がっています。重度の骨と軟組織の喪失が歯間または重度の歯の位置異常です。
うーん、分かるづらいですよね(笑
つまり下にいけばいくほど
治療が難しくなるってことです。
今回のケースでは
となり同士の歯肉の位置は高いですが(有利) 歯の位置は少しでっぱっています(不利)
まずは歯磨き習慣の改善をおこないつつ(ここが重要
結合組織移植術をおこないました。
基本は「あまってる場所」からとってきて「足りない場所に移す」です。
近年は人工移植材料も進化していますが、やはりゴールドスタンダード(王道的な意味)
は自家移植(自分の組織の移植)になります。
また歯肉の血管をつぶさないような繊細な手技がもとめられます。
移植後はⅠ週間後に抜糸、その場所の歯磨きも控えてもらいます。
この写真は術後Ⅰ年になります。
下がっていた歯茎が上がっているのが確認できると思います。
この治療のもう一つの利点は
歯茎が厚くなるので
歯茎が下がりづらくなる!! ということです。
もちろん、このあと定期的なメンテナンスは必須ですが
患者さん自身も歯茎について悩まなくなったとおっしゃっていました。
もし歯肉のことで悩んだら歯周病を専門としている機関への相談をおすすめします。
単純に多くの症例を扱っており、当然ですがそれ専門の教育を受けて
知識もアップグレードされています。
より幅広い選択肢を提示することも可能で、それが患者さんの利益につながると考えております。
効能
歯肉辺縁の歯冠側への移動。
主観的審美性の改善
起こりうる副作用
術後の腫れ、痛み、
発赤など
※治療には必ず個人差があります。
患者さん自身のケースについては自己判断せずに
医療機関にご相談ください