予防・メインテナンス
治療の終わりは、メインテナンスの始まりです。
生涯ご自身の歯で過ごすための、もっとも現実的な道筋がここにあります。
最良の歯科治療は、
予防治療です。
虫歯も歯周病も、一度進行してしまえば元通りの健康な状態には戻りません。削った歯、失った歯槽骨は、取り戻せないのです。
だからこそ、私たちは「治してから予防する」ではなく、「予防すること自体を、治療の中心に据える」ことを大切にしています。
30年、1人当たり
喪失歯 0.67本。
これは、北欧で行われた30年間の縦断研究の結果です。徹底した個別予防プログラムとメインテナンスを継続した患者さんでは、30年間で失った歯の本数が1人あたり平均 0.67本に留まりました。
「メインテナンスを続ければ、歯はほぼ失わずに済む」――これは、歯科の国際的なコンセンサスとして、現在もっとも信頼されている報告のひとつです。
歯を守るのに遅すぎることはありません。
そして、歯を守る方法は、科学的にすでに分かっています。
プロのケアと、
毎日のセルフケア。
メインテナンスは、歯科医院で行うプロフェッショナルケアだけでも、ご自宅でのセルフケアだけでも成立しません。両輪がそろって初めて、歯は守られます。
国際的な研究のメタアナリシスでは、「機械的な歯面清掃(PMTC)単体よりも、むしろ口腔清掃指導のほうが予防効果への寄与が大きい」ことが報告されています。つまり、来院時のクリーニングだけに頼るのではなく、患者さんご自身の毎日のブラッシング精度を上げることが、結局は一番の予防になるということです。
当院では、一人ひとりの口腔内に合わせたブラッシング指導・フロス指導を、担当歯科衛生士が時間をかけて行います。道具選びから使い方まで、「なぜこうするのか」を理屈でご理解いただくことに重点を置いています。
リスクに合わせた、
メインテナンス間隔。
全員が同じ頻度で通う必要はありません。国際的に用いられている歯周病リスク評価では、6つの軸――出血部位の割合、深いポケットの数、過去の歯の喪失本数、年齢あたりの骨吸収、全身疾患、喫煙習慣――から、その方のリスクを総合的に評価します。
- 低リスクの方: おおむね6ヶ月に1回
- 中リスクの方: おおむね3ヶ月に1回
- 高リスクの方: 原則として1ヶ月に1回
当院では、初診時とメインテナンスのたびに、この6軸を評価しなおしています。リスクは生涯変わらないものではなく、生活・年齢・全身状態とともに動くものだからです。過剰にも、不足にもならない、その方にとって最適な間隔でお会いするのが私たちの役割です。
歯周病は治療より、
予防が有効な病気。
歯周病は、痛みが出たときにはすでに相当進行している「沈黙の病気」です。自覚症状がないうちに歯槽骨が溶けていくため、「気づいた時には歯がぐらつく」事態になりやすい性質を持ちます。
しかし、適切にコントロールされた口腔衛生下では、歯周病の進行はほぼ止められることが、半世紀以上にわたる国際的な研究によって一貫して確認されています。
ポケットの深さ、出血の有無、歯石の付着、噛み合わせの変化――これらを定期的にチェックし、必要な介入を必要なタイミングで行うことが、歯を残す最大の近道です。
ブラッシングを
深く知る
毎日のセルフケアを科学する、4本のガイド記事。
院長・歯科衛生士がまとめた、ブラッシングの本質についての解説です。