審美歯科
白い歯ではなく、調和のとれた口元を。
歯と歯肉――両方の健康を整えた先にある美しさを目指します。
歯だけを白くしても、
美しい口元にはなりません。
当院では、ポーセレンクラウンやラミネートベニアといった一般的な審美修復だけでなく、歯肉・歯槽骨などの歯周組織にしっかりと配慮した審美治療(歯周形成外科)を行っています。
なぜなら、歯だけが白くても、歯肉が退縮していたり、歯肉の色が悪かったりすると、口元全体としての審美性は成立しないからです。特に前歯は顔の玄関。赤と白、歯肉と歯のバランスこそが、審美の本質だと考えています。
当院の歯周形成外科は、世界的な審美歯科の教科書で標準術式として解説されているアプローチと整合する方針で行っており、長期的な再現性と安定性を重視しています。
冠の縁を、
黒く露出させない。
前歯をポーセレンで修復する場合、優秀な技工士に依頼すれば、治療直後の短期間であれば審美性の高い冠を作ることは比較的容易です。
しかし時間が経つと、歯肉の退縮によって冠の縁が黒く露出し、審美性が大きく損なわれることがあります。多くの場合、これは事前に歯周組織への専門的な配慮を行うことで予防できるものです。
当院では、冠を入れる前の段階から歯肉・骨・バイオタイプ(歯肉の厚み)を評価し、薄いバイオタイプの部位には歯周組織の補強を先行することで、長期にわたって冠の縁が見えない状態を維持することを目標に治療を設計します。
国際的なエビデンスでも、修復治療の最終的な審美成功は、軟組織と骨が自然の解剖を模倣できるかにかかっていると明記されています。当院のアプローチは、この原則に忠実です。
下がってしまった
歯肉を、取り戻す。
いくら白い歯でも、歯肉が退縮し、歯の根が露出してしまった状態では、審美的とは言えません。歯が長く見え、冷たいものがしみやすくなり、虫歯にもなりやすくなります。
こうして露出した歯根は、結合組織移植術(SCTG: subepithelial connective tissue graft)とトンネリング法を組み合わせた歯周形成外科の術式で、再び歯肉で覆うことが可能です。歯肉の欠損の程度、周囲の骨の状態、歯肉のバイオタイプを評価したうえで、適応を慎重に判断します。
国際的なエビデンスでは、歯肉退縮の代表的な分類における軽度〜中等度(Class I・II 相当)の症例で、根面被覆の成功率は 92〜99%と報告されており、10年以上の長期安定も示されている予測性の高い治療です。
当院ではこれを、手術用マイクロスコープとマイクロサージカル器具を用いたマイクロサージェリーで行います。切開を最小化し、血液供給を最大化する設計にすることで、移植片の生着率を高め、色調も周囲の歯肉に自然に調和させることを目指します。一般歯科で打ち出している「マイクロスコープによる精密治療」と同じ哲学を、歯周形成外科にも一貫して適用しています。
当院はこの歯周形成外科の分野に長年先駆的に取り組んできた医院のひとつで、20年以上の経験と症例の蓄積があります。世界的な審美歯科の教科書で体系化されている術式を、横浜・関内の地域で実践してきた実績です。
「長い歯」にならない
ブリッジを。
歯を失った部分では、時間の経過とともに歯肉と歯槽骨が吸収し、元の高さより低くなってしまいます。国際的なエビデンスでは、前歯抜歯症例の 91% で、なんらかの歯槽堤の変形(陥凹)が生じると報告されており、そのままブリッジを入れると「長い歯」になるか、歯と歯肉の間に大きな空間ができ、どちらも審美的にはよろしくありません。
当院ではこれを防ぐために、3つの工程を症例に応じて組み合わせます。
- リッジ保存(抜歯時の骨吸収予防):抜歯のタイミングで骨補填材と遮断膜を用い、歯槽骨の吸収そのものを最小化します。
- リッジ増大:すでに吸収が進んだケースには、結合組織移植と骨造成で、元に近い歯槽堤の高さと幅を再建します。
- オベートポンティック(卵形の人工歯):ブリッジのダミー歯の基底部を、歯肉縁より 1.5〜2mm 下に収めるように形態調整し、あたかもそこから自分の歯が生えているような自然な立ち上がり(emergence profile)を再現します。
前歯の審美において、これらの工程の有無は最終的な見え方に決定的な差を生みます。さらに、歯と歯の間の三角形の歯肉(歯間乳頭)が失われてしまったケースでも、歯列矯正・修復・歯周外科を組み合わせる multidisciplinary(多分野連携)アプローチで形態の再建を目指します。
※上記アプローチを扱った症例は、患者さん向け雑誌『nico』(クインテッセンス出版)2010年8月号の特集「歯周形成外科できれいな歯ぐきを取り戻す」でも取り上げられています。
美しさは、
健康の結果として。
審美治療で大切にしているのは、「その瞬間だけ美しい」ではなく、「10年後も美しい」という視点です。どれほど精巧なセラミックを入れても、歯肉の炎症が残っていたり、噛み合わせが不安定だったりすれば、長期の安定は望めません。
そのため当院では、審美治療に入る前に必ず歯周治療と咬合(噛み合わせ)の評価を行い、土台が整ったうえで補綴(冠・ブリッジなど)を進めます。遠回りのように見えて、これがもっとも確実な審美への道筋だと考えています。
「削らない・保存する・生物学的に正しく介入する」――これは当院が長年貫いてきた哲学であり、世界的な審美歯科の教科書で繰り返し強調されている理念とも完全に重なります。